神奈川にも適格消費者団体を!

 神奈川県内に適格消費者団体を作ろう!という動きがあります。消費者問題に取り組む県内の弁護士や司法書士の有志、県内の生活協同組合、消費者団体、消費生活相談員等の参加により、これまで2回に渡って、適格消費者団体の認定を目指して活動するNPO法人の設立へ向けた準備会を開催しており、私も事務局の一員としてこれに参加させていただいています。

 この「適格消費者団体」という団体の役割等については、今後、実際の活動のご報告とともに詳しく説明させていただく予定ですが、ごく大雑把にいえば、団体自身が当事者となって、事業者の不当行為や不当条項の使用をやめるようにという申入れや裁判を行うというのが主な活動になります。

 たとえば、契約書の条項や約款の中に「商品に瑕疵や不具合があっても、交換や代金の返還には応じられません」、「当社は一切の損害賠償責任を負わないものとします」という一文が入っていたり、結婚式場やレンタル衣装、家庭教師や専門学校の契約を中途解約しようと思ったら、過大なキャンセルや違約金を支払わなければならない規約になっていたということはないでしょうか。

 これらの条項や規約は、法律上無効になる可能性がありますので、たとえこのような文言が規定されていたとしても、不具合のある商品の交換や払った代金の返還を求めることが出来たり、過大なキャンセル料を払うことなく契約を解約出来る場合があります。

 ところが、こうした事態に直面しても、そもそも問題点に気が付かない方々も多いでしょうし、仮におかしいのではないかと思ったとしても、「契約だからしょうがない」とか、「裁判にするには金額も少ないし、どうしようもない」と諦めてしまう消費者の方々も多いのではないかと思います。

 適格消費者団体は、事業者に対して、こうした不当な契約条項などの使用中止や是正を申し入れたり、場合によっては、裁判を起こしてこれらの是正を求めていく活動をします。適格消費者団体の活動によって、上記のような不当な契約条項が削除されたり、妥当な内容に改訂されることで、今後、消費者は同様のトラブルに悩むことはなくなりますし、またその活動の成果をもとにして、既にトラブルに遭ってしまった方々についても救済の途が開けるかもしれません。

 適格消費者団体は、こうした消費者トラブルの予防や解決に重要な役割を果たす活動をする団体です。関東近県をみると、東京や埼玉では既に適格消費者団体が存在し、一定の成果を上げていますし、群馬でも適格消費者団体の認定を目指すNPO法人が立ち上がり活動を始めています。

 ところが、神奈川県において、適格消費者団体どころかその前身となるべく団体も存在しないというのが実情でした。東京に次ぐ人口を有する神奈川県において、これはいかにも忌々しき事態だ!ということで、有志による活動が始まったというのが私も参加させていただいている上記の準備会です。年内にNPO法人の設立総会の開催までこぎつけることが参加者の間で確認されており、非常にタイトなスケジュールとなってはいますが、私個人としても、日々の弁護士業務とうまく時間配分をしながら活動を続けていきたいと思います。

 ・・・・なお、設立を目指しているNPO法人の名称は「消費者支援かながわ」に決まりました。その他の名称の案としては、弁護士サイドから一つ、司法書士サイドから一つ出されたほか、事務局という立場にあることをいいことに、私が個人的に考えた2つの案も候補に混ぜておきました(自分の案が採用されれば、名付け親みたいでカッコいいですもんね)。

 で、この複数の案の中から、最終的には平成26年10月の準備会に出席いただいた20名程度の多数決で決めることになったのですが、いざ多数決を取ってみると、私がこっそりと候補に混ぜておいた名称の案は、なんと2案ともに得票ゼロ(ゼロということは私自身も自分の案に手を挙げてはいないのですが・・)。

 ポップなキャッチコピーを考えたり、会話の中に小粋なジョークをアドリブで混ぜるようなことは苦手だという自覚があるので、この結果もごく当然なものと言ってよいのですが、私の得票ゼロの案だって別に適当に考えたものでもないんでねぇ。賛同ゼロという結果に直面したときは、さすがに寂しかったなと。

(弁護士天野正男)